審査員は視てなくてもお客さんは視てる。合唱の外見。
「本番前だからエステに行かなきゃ」
こう言う声楽家や演劇の人に出会ったことはあっても、こう言う合唱人に出会ったことはありません。
「本番前だから姿勢を気をつけなきゃ」
「本番前だから痩せなきゃ」
そういう人の率も、合唱人には少ないように思います。
合唱の方々、見た目の影響力をどれほどに感じていますか?
今回は、マナーアドバイザーの清水ひなたが外見の大切さについてお伝えします。
言葉よりも表情から真意を読もうとする
第一印象は0.5秒で決まるといわれています。その第一印象にはどんな要素がどのくらい影響を与えるのかということを示す「メラビアンの法則」というものがあります。
第一印象に与える影響
1. 視た印象:姿勢や表情や服装や立ち振舞など 55%
2. 聴いた印象:音量や音色など 38%
3. 内容:具体的な情報 7%
たとえば、「元気だよ!」と肩の落ちた姿勢と暗い表情で言う人を見ると私たちは心配になります。
それは、「内容」よりも「視た印象」が優先された結果といえるでしょう。
反対に、「あんまり元気じゃない」と弾ける笑顔で言われたら、私たちはあまり心配になりません。
これも、「内容」よりも「視た印象」が優先されているからといえるでしょう。
視た印象の重要さがお分かりいただけたかと思います。
コンクールでは審査員が「視てない」。だから外見は比較的評価されない
歌においても、外見は本当に大切です。
どんなに上手くても明るい歌や激しい恋の歌を真面目な顔で歌っていたら効果半減です。
穏やかな宗教曲を弾ける笑顔で歌うのも違和感が生まれます。
とはいえ、コンクールを合唱活動の主軸としているとそうは感じにくいかもしれません。
コンクールにおけるメインのお客さまである審査員はあまり「視ていない」からです。
その審査員は耳がとても鍛えられています。そのため、普通の人よりも視覚より耳に重点を置いて合唱と接します。
また、審査員は演奏中に楽譜を見たり、講評用紙に講評を書き込んだりします。そのため合唱を視ている時間は比較的少なくなります。
この2点から、コンクールの審査員はそれほど見た目を気にしないといえます。
しかし、演奏会は別です。
演奏会は合唱を聞くプロばかりではなく、普段合唱を聞かない方もいらっしゃいます。また、集中して演奏を聞きにいらっしゃいます。視線はほとんどの時間舞台に注がれます。
そんなとき、外見の重要度は増します。
外見は歌ではなく表現のために
発声のでやすさのために顔を歪める。
高音を出すために少ししゃがむ。
そんな、表現に不必要な動きをしているともったいないです。
歌のためではなくて、表現のために外見を使いましょう。
その時の表現に合わせて体の緊張度や視線をどこに置くか調整してみると、それだけで演奏の雰囲気変わるはずです。
演奏時の見た目。ぜひ気をつけてみてください。
〈ライター:清水ひなた〉
マナーアドバイザー・お話の仕方講師として活動する。要点と本質の分かりやすい説明に定評がある。言葉遣いだけでなく、発声や表情・間の取り方など非言語コミュニケーションについても伝える。中学生の頃から現在に至るまで継続して合唱活動を続けている。