「基本笑顔」の先にある表現。合唱人の表情を考える。
こんにちは、マナーアドバイザーの清水ひなたです。
2回にわたり「笑顔の作り方」についてお伝えしましたが、今回は「表情よく歌う」ということについて考えてみたいと思います。
「合唱」もライブ。表情にこだわろう
「合唱」といえども「ライブ」です。アイドルが歌と同じかそれ以上に見た目にこだわるように、「ライブ」は聞いて楽しむものと同時に見て楽しむものです。
十数人から数十人が舞台に並んでいて、一生懸命に歌っているにしろその表情が死んでいたら。目に力がなく、ただ口だけが動いていたら……。客席のお客さんは怖さすら覚えるかもしれません。
どんなに質の高い上手い演奏だとしても、表情が死んでいたら効果半減です。
これまで笑顔の作り方をお伝えしてきましたから、
「だから、笑おう。」
といっているように聞こえるかもしれません。
しかし、「表情が死んでいたらダメ→だから笑おう」というのは間違いです。
アイドルがあえて「笑わない」表現をすることも
歌以上に見た目にこだわるアイドルは、基本笑顔という印象があります。
それは彼らが笑顔が似合う曲を歌うからです。楽しい歌や元気の出る歌だから、常に笑顔で、ポジティブさを感じさせる表情で歌うのです。
実際、「笑わないアイドル」もいます。
たとえば、昨年一番売れた新人アーティストの欅坂46(参考:オリコンニュース)。デビューシングル『サイレントマジョリティー』で、彼女たちは笑顔を封印しています。
自分たちで話し合って、曲の世界観を表現するために「笑わない」ことが必要だと思ったから(参考:エキサイトニュース)。
本当の「生き生きとした表情」とは、「とにかく笑顔」ではなく、部分部分にあった表情をすることなのです。
歌詞を読み解くなら、そのときにどういう表情をするかも考えてみましょう。
目の開き具合は? 眉の位置は? 顔のうつむき加減は? 肩を少しうちに入れたり開いたりしてみたりしてもいいかも。
普通の場合、合唱はアイドルのように踊ったりしませんが、それでもできることはたくさんあります。
笑顔の先を目指してください
多くの合唱人にとって笑顔は必須技能です。
オープニングからアンコールまで暗い曲のみを集めた演奏会はめったにありません。
また、NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)の課題曲などでは、曲の一部が暗いことはあっても、たいていは希望や熱意・元気さなどがコンセプトにされています。
まず一つ何かの表情を身につけるなら笑顔。
それでいいと思います。
けれど、それで満足することなく、表現のための表情を追求してください!
〈ライター:清水ひなた〉
マナーアドバイザー・お話の仕方講師として活動する。要点と本質の分かりやすい説明に定評がある。言葉遣いだけでなく、発声や表情・間の取り方など非言語コミュニケーションについても伝える。中学生の頃から現在に至るまで継続して合唱活動を続けている。