合唱部の先生に「笑え!」と怒られた人に読んでほしい
「笑え!」
「表情に気をつけろ!」
合唱練習の最中、時折こんな言葉が飛び交います。しかし、緊張する場面や怒られている場面でこう言われて自然に笑える人はなかなかいません。
私も、中学生の頃、笑うことができなくて困った覚えがあります。
「今から呼ぶのは表情がいい人です。呼ばれた人は座ってください。何度も歌って全員が座れることを目指しましょう」
クラス合唱の練習でこういうことがあり、表情が悪いと最後まで立たされた経験があります。合唱部だったのに。
そんな笑うことが苦手だった私も、今ではマナーのお教室で笑顔の作り方をお伝えするようになりました。
今回は、そんなマナーアドバイザーの清水ひなたが、自然な笑顔の作り方についてお伝えします。
自然な笑顔の3つの条件
自然な笑顔には3つの条件があるといわれています。目に見える3つのポイント。
それは、
・口角が上がっていること
・頬が上がっていること
・目尻が下がっていること
この3つです。
合唱は凄まじいマルチタスク的行為
しかし、ただでさえ気にしなきゃいけないことが多い歌唱中にさらに3つも気をつけることなんてできない! と思いませんか?
音程は正しい? リズムは正しい? テンポは遅れてない? 発声は乱れてない? 周りのメンバーの調子はどんなかんじ? 他のパートとの和声的な関係性は上手くいってる? 指揮者がいきなり普段と違う振り方をしない? このシーンはどういう意味が込められてるんだっけ? などなど常に気を張っているのにその上3つも気をつけるのはなかなか気が重いかもしれません。
気をつけるべき筋肉は1つだけ
しかし、自然な笑顔の3条件をクリアするために気をつけるべきことはたった1つです。
「大頬骨筋のみを収縮させること」
この1つだけ。そう思うとできる気がしませんか?
大頬骨筋とは、口角のあたりと目尻のあたりを結ぶ筋肉です。
この筋肉を収縮させると「口角があがり」「頬は高くなり」「目尻が下がり」ます。
これで、自然な笑顔の3つの条件クリアです。
ただし、気をつけなくてはならないのが、大頬骨筋「のみ」を収縮させることです。
笑顔を作るとき、唇や顎を動かしたり緊張させたりする人がいますが、それは歌い手にとってもったいないことです。癖を感じさせる笑顔になってしまう上に発声や発語の妨げになるからです。
歌いながら笑うための基本は筋肉を分けて使うことがオススメです。
「唇や顎は、発声や発音のために
大頬骨筋は、笑顔のために」
これが鉄則です。
筋トレ
合唱は「身体の使い方を磨く」という意味でスポーツと似たところがありますが、笑顔もまたスポーツです。
体力テストをして腹筋や握力や背筋に個人差が出るように、「大頬骨筋」の発達度や使い方にも個人差があります。
それぞれの方がこれまで生きてきた中でなんらかの癖を持っているのです。
ですから、普段から大頬骨筋のみを使って笑っている人もいれば、これまで唇で笑っていて大頬骨筋は使っていないという人もいます。
そのような方は、まず筋肉の動きの確認から始めましょう。
新しくスポーツを始めるときに、まずその基本操作のフォームを習うように。
〈ライター:清水ひなた〉
マナーアドバイザー・お話の仕方講師として活動する。要点と本質の分かりやすい説明に定評がある。言葉遣いだけでなく、発声や表情・間の取り方など非言語コミュニケーションについても伝える。中学生の頃から現在に至るまで継続して合唱活動を続けている。