あなたが思っているより肺は大きい。イメージを修正して息の量up
こんにちは、「合唱手帳」編集部です。
合唱人なら「息が続かない」と自分の肺活量の頼りなさを感じたことがあるのではないでしょうか。
プロの演奏を聞いてその息の長さに感動したりしたこともあるのではないでしょうか。
しかし、そんな「あの人、私の倍も息が続いてる……どこからそんな大量の空気が出てくるの!?」と思うほど息が長く続く人も同じ人間です。肺活量に極端な差があるわけではありません。
彼らは、肺の扱い方に長けているのです。
今回は、そんな歌の源流にあたる「肺」についてお伝えします。
肺の天井と底面はどこ?
呼吸のために休むことなく動き続けている「肺」ですが、この肺の大きさを具体的にイメージできますか? ぜひ、今ここだと思う肺の一番上と一番下に手を当ててみてください。
肺の上はナイフが届く位置
まずは、肺の天井の位置を確認しましょう。
……時代劇やアニメなどで「刺客がターゲットの首元にナイフを差し込み、命を立つ」というシーンがありますが、この技で、なぜ人は絶命するのでしょうか。
そのナイフは心臓には届きません。太い血管を傷つけて鮮血が舞うわけでもありません。
実は、このナイフは肺を狙っています。ターゲットの肺に穴を開け、その命を絶つのです。
※illustration by フリーメディカルイラスト図鑑
物騒な話になりましたが、このことから首にほど近いところに肺が存在するということがイメージできたかと思います。
肺の形は綺麗な球体や円柱ではありません。どちらかというと三角錐に近いような形で、天井は極端な「なで肩」です。その背骨側の天井の高いところが、鎖骨から少し顔を覗かせる位置にあるのです。ここが肺の一番高いところです。
肺の底面は咳払いで動くあたり
続いて肺の底面を確認してみましょう。
「底面」という言い方をした通り、肺の低いところは「点」というより「面」のイメージです。
※illustration by フリーメディカルイラスト図鑑
肺の底面は「横隔膜」に接しています。肺の底面を知るには、この横隔膜の位置を感じるのが近道です。
「膜」という字が含まれますが、横隔膜は筋肉です。牛でいうと「ハラミ」の部分で、名前の響きに反して厚みのある筋肉です。
そのお役目は、人の身体を肋骨の下あたりで上下2つに分ける「仕切り」。しゃっくりが続くと、普段意識しないような筋肉が筋肉痛になることがありますが、それが横隔膜であることが多いそうです。
みぞおちの少し下に手を当てて軽く咳払いをしてみしょう。
ーーこのときにポコポコと動くあたりが横隔膜です。
その手を体の側面から背中までズラしながらポコポコと動く箇所がどう移動するか確かめましょう。肋骨の下部に添って、お腹側から背中側にいくにつれてポコポコと動く位置が低くなっていきます。
また、この横隔膜は息をたっぷり吸うと低く低く降りていきます。背中側が大きく動くのですが、普通の方で3㎝、プロの声楽家だと6㎝程度変化するといわれています。そして、プロの声楽家では背中の下部・腰の上部のあたりまで横隔膜が下がるのです。
人の身体は脳のイメージを叶えようとする
肺が胸のあたりにあると思って息をいっぱい吸うのと、鎖骨の上から腰に近いあたりまでと思って息をいっぱい吸うのとでは、吸える息の量が体感的に随分変化します。
緊張して息が上がるという場合に、肺の大きさを確認するだけで落ち着くこともあります。
人の身体は脳がイメージしたとおりに動こうとするからです。
息が続かない方は、まず肺の大きさを確認することから始めてみましょう。
・肺は鎖骨の上に顔を覗かせている
・肺の底面は肋骨の下部のあたり
・肺の底面はお腹側より背中側が深い
身体のイメージと実際の身体にズレがあった方ほど、イメージを設定し直すだけで息を吸うのが楽に感じるようになります。
次回は、肺のコントロール方法や腹式呼吸についてお伝えします!