Nコン特集:「叶うならば」の鍵は「鳴りっぱなし」と「大大小」
こんにちは、小春ういです。今日もNコン課題曲の発音についてお届けします!
「叶うならば」
今日は水曜なので曲は、中学校の部課題曲『願いごとの持ち腐れ』。冒頭の歌詞より、「叶うならば」を取り上げます。歌いはじめの最初の8小節をしめる箇所。ていねいに歌ってください!
ポイント1:「かなうならば」は、最初の一瞬以降は声帯鳴りっぱなし
子音には有声子音と無声子音があります。その子音を発音する時に声帯が振動するか振動しないかという違いです。
「かなうならば」では、「な」と「ら」と「ば」の子音が有声子音、「か」の子音が無声子音です。
ということは、「か」の最初で一瞬ならないだけで、その後は声帯は鳴りっぱなしということになります。
声帯が安定して鳴っているほど声は遠くへ届きやすくなります。
声帯を鳴らしっぱなしにできているか、喉に手を当てて確かめてみてください!
ポイント2:「ならば」の3つのア母音は、大大小で
「ならば」はア母音が3つ続きます。
だから、口を同じ大きさに開ければいいというわけではありません。
「叶うならば」と喋ってみると、後ろ3つの口の開き方がそれぞれ違うことが分かります。
「な」は一番大きく開いて、「ら」は少し狭くなる。そして、「ば」はかなり閉じめになります。
この口の開き方の違いを反映させて歌いましょう。
ポイント3:「ば」は摩擦音で
最後に、「ば」の発音を確かめましょう。
「ば」は上下の唇が一度しっかり閉じて、それが勢い良く離れる発音と思っている人もいると思います。
けれど、「叶うならば」の「ば」は実はそんなに強い発音ではありません。
上下の唇がゆるくくっついて、その間を息がゆるく通っていく……摩擦音という発音の仕方をします。
「すー」や「ずー」のように、子音の部分を長く引き延ばすことができるように、唇が何度かぶつかったり離れたりするくらいのやわらかい発音をしましょう。
Nコン課題曲の歌い方、好評連載中です。
月・水・金は中学校の部課題曲『願いごとの持ち腐れ』
火・木は、小学校の部課題曲『いまだよ』
作詞:宮下奈都/作曲:信長貴富
について解説します!
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日本語の歌唱を得意とする声楽家・合唱指導者。国立音楽大学卒業。基礎力を大切にした歌唱・指導が特徴。日本語音声学や朗読などを学び、知識を実践に結びつけることをライフワークとする。中学生の時、NHK全国音楽コンクール(通称:Nコン)全国大会出場。高校では合唱部を音楽的に推し進め、初出場で全日本合唱コンクール(通称:朝日コン)全国大会3位相当の特別賞を獲得した。大学・社会人になっても合唱やアンサンブルを続け、海外演奏旅行や海外コンクールなどの経験を持つ。