Nコン2017解説:無声子音の前に止めの時間を作ろう!「それは君が相手の痛みをわかるようになったから」
こんにちは、小春ういです! 今日はNコン高校の部課題曲『君が君に歌う歌』の発音についてお届けします。
「それは君が 相手の痛みをわかるようになったから」
「涙が止まらないのは 悔しいからじゃない」に劣らず、歌うのが難しい「それは君が 相手の痛みをわかるようになったから」。今回も、言葉の特徴を整理してみましょう!
ポイント1:「それは」「君が」は、歌い出しに止めの時間を作って
「それは」と「君が」 に共通する特徴は何か分かりますか?
それは、言葉の頭が無声子音(子音の間、声帯が止まる発音)であることです。この無声子音を上手く使って、言葉を立たせましょう。
子音をハッキリというと、子音が破裂する運動を目立たせようとする人が多いです。この2つだと、「それは」のsを響かせる、「君が」のkを響かせるというふうに。
しかし、ここでは省エネ化を狙いたいので、別の方法を使ってみましょう。それは、歌い出しに止めの時間を作ること。
sが聞こえるちょっと前、kが聞こえるちょっと前に無音の時間をつくりましょう。人の耳には「新しく音が鳴る」ということに敏感という特徴があるので、お客さんの耳を集めることができます。
ぜひ、使ってみてください!
ポイント2:「い」は、「あ」と「て」の通過点
「相手」の真ん中の音「い」は、「あ」と「て」の通過点という意識で歌いましょう。
「あ」「い」「て」と一つずつ発音をハッキリ作るのではなく、「い」はかなり曖昧にして、「あ」から「て」と歌うようなイメージで歌ってみましょう。
そすると、やわらかに響く「相手」になります。
ポイント3:「るようにな」は声帯鳴りっぱなし。なめらかに
「それは君が 相手の痛みをわかるようになったから」は、無声子音が多いフレーズです。
この中で、長い時間声帯が鳴りっぱなしになるのは「るようにな」。
ここはたっぷり声帯をならしてなめらかに歌いましょう!
喉に手を当ててずっとビリビリしているか確かめてみてください!
Nコン課題曲の歌い方、好評連載中です。
※来週から配信日が変更です!
高等学校の部課題曲『君が君に歌う歌』は、水曜日と金曜日
作詞:Elvis Woodstock(リリー・フランキー)/作曲:大島ミチル
中学校の部課題曲『願いごとの持ち腐れ』は、火曜日
小学校の部課題曲『いまだよ』は、月曜日と木曜日
作詞:宮下奈都/作曲:信長貴富
に配信です! 解説お楽しみに!
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日本語の歌唱を得意とする声楽家・合唱指導者。国立音楽大学卒業。基礎力を大切にした歌唱・指導が特徴。日本語音声学や朗読などを学び、知識を実践に結びつけることをライフワークとする。中学生の時、NHK全国音楽コンクール(通称:Nコン)全国大会出場。高校では合唱部を音楽的に推し進め、初出場で全日本合唱コンクール(通称:朝日コン)全国大会3位相当の特別賞を獲得した。大学・社会人になっても合唱やアンサンブルを続け、海外演奏旅行や海外コンクールなどの経験を持つ。