Nコン課題曲解説:8分音符が11音続くメロディーの歌い方「わからなくなる時があるから」
こんにちは、小春ういです! 今日はNコン高校の部課題曲『君が君に歌う歌』の発音についてお届けします。
「わからなくなる時があるから」
「わかからなくなる時があるから」は前半が同じ長さの音の連続で、音取りしやすいメロディーではありますが、美しく聞かせるには技術力が必要です。以下の3つのポイントを参考に練習してみてください。
ポイント1:「わ」は舌をしっかり持ち上げて
日本語の「わ」を歌う時、合唱人は唇に頼りすぎなように聞こえます。
唇だけを閉じて口の中の空間は広く開いている歌い方をよく耳にしますが、日本語の「わ」の特徴は口の中全体が狭くなることです。
上下の唇を近づけるのと同時に、舌をしっかり持ち上げて口の空間を狭くしてください。
ポイント2:「なくなる」に顎のダイナミックな動きは必要ない
「わからなくなる時があるから」の部分は8分音符が11音も続くメロディーで、何も考えずに歌うと単調になりがちです。
歌う時は喋る時より時間が引き伸ばされてしまうため「わからなくなる時」を一息で歌うのではなく、「わから」「なく」「なる」「時」とそれぞれ区切って歌ってしまうために、単調に聞こえてしまうのです。
そんな時にはまず、「なくなる」の部分に注意を向けてみましょう。ここが目立ちすぎないようにすることがポイントです。
「なくなる」の母音は「アウアウ」。口を大きく開けてから前方に突き出すように閉じるというダイナミックな動きになっていませんか?
それでは目立ちすぎます。顎をなるべく動かさないように気を付けて歌ってみましょう。
ポイント3:「から」は舌をやわらかく使って
11音も8分音符が続いた後に「る」でやっと付点4分音符分伸ばすことができます。こういうときには伸ばしている間にテンポ感を忘れてしまいがち。そして、次の「から」をハッとしたように歌いはじめてしまいがち。
そんなときの発語はとても固くなってしまいます。しかし、この「から」は「わからなくなる時があるから」のフレーズで一番控えめに美しく収めたいところです。舌をやわらかく使ってください。
Nコン課題曲の歌い方、好評連載中です。
月・木は高等学校の部課題曲『君が君に歌う歌』について。
作詞:Elvis Woodstock(リリー・フランキー)/作曲:大島ミチル
火・金は中学校の部課題曲『願いごとの持ち腐れ』
水は、小学校の部課題曲『いまだよ』
作詞:宮下奈都/作曲:信長貴富
について解説します!
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日本語の歌唱を得意とする声楽家・合唱指導者。国立音楽大学卒業。基礎力を大切にした歌唱・指導が特徴。日本語音声学や朗読などを学び、知識を実践に結びつけることをライフワークとする。中学生の時、NHK全国音楽コンクール(通称:Nコン)全国大会出場。高校では合唱部を音楽的に推し進め、初出場で全日本合唱コンクール(通称:朝日コン)全国大会3位相当の特別賞を獲得した。大学・社会人になっても合唱やアンサンブルを続け、海外演奏旅行や海外コンクールなどの経験を持つ。