合唱手帳

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Nコン課題曲特集:「もしも魔法が使えて」。合唱人の鬼門「し」と「ハ行」の発音

 

こんにちは、小春ういです。今日も、『願いごとの持ち腐れ』の歌詞についてお届けします!

今日は歌い出しの「もしも 魔法が使えて」です。

 

 

「もしも 魔法が使えて」

歌にとって歌い出しはとっても大切です。1曲とおして集中して聞いてもらえるかどうかは歌い出しに掛かっています。

それなのに……この歌い出しは合唱人にとって難しい発音が2つも含まれています。

そんな「もしも 魔法が使えて」を今日も3つのポイントで解説します!

 

ポイント1:「し」は舌の先を下の歯の歯茎に押し付けて

歌い手にとって難しい日本語の発音のひとつ、「し」。時代の変化でもあるのですが、若者は、ちょっと浮いたような、ちょっと浅いような発音になりがち。若者自身はあまり気にならなくても、これを嫌う審査員は多くいます

 

若者が浅くなってしまうのは舌の位置が原因の場合がほとんど。

舌の先を、下の歯の歯茎のあたりにしっかりと押し付ければ、審査員が聞いて気にならない「し」になります。

 

慣れないうちは、「もしも」の「も」、つまり前奏のあいだから舌の先を下の歯の歯茎のあたりにしっかりと押し付けて準備をしておきましょう!

 

 

ポイント2:「ほ」は息を味わう時間を作ろう

2つ目のポイントは「ほ」の発音です。「ハ行」は日本語に独特の発音で、歌にして響かせにくい発音です。

 

それは、「ハ行」のチャームポイントは響かないことだから。

言葉をきれいに聴かせたいなら、響かせないことを選ぶというのが「ハ行」の攻略方法のひとつです。

 

「早く母音を当てよう!」と思ってはいけません。「ほ」の息を味わう時間を作りましょう。その息に少し遅れて母音がそろそろと出てくるイメージです!

 

 

ポイント3:「て」は顎を閉じめにする

「もしも 魔法が使えて」

歌詞を見るとここで行送りがあります。だから、ここで一段落ついていいというわけではありません。

この先4分間を引きだす1行です。

 

この「先を引きだす感」を出すために「て」の発音を気をつけましょう。

 

「て」をぶっきらぼうに歌ってしまってはいけません。

前の音と次の音をつなぐようにていねいに歌いましょう。

そのためには、口をパクパクしないことです。

 

「て」に続く「夢が」の「ゆ」は口の空間が狭い発音です。この発音を予感させるために「て」は閉じ気味にしましょう。 

 

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Nコン課題曲の歌い方、好評連載中です。

 

月・水・金は中学校の部課題曲『願いごとの持ち腐れ』

作詞:秋元康/作曲:内山栞/編曲:横山潤子 

 

火・木は、小学校の部課題曲『いまだよ』

作詞:宮下奈都/作曲:信長貴富 

 

について解説します!

 

 

〈ライター:小春うい〉twitterで記事のこぼれ話もつぶやき中@koharuui

日本語の歌唱を得意とする声楽家・合唱指導者。国立音楽大学卒業。基礎力を大切にした歌唱・指導が特徴。日本語音声学や朗読などを学び、知識を実践に結びつけることをライフワークとする。中学生の時、NHK全国音楽コンクール(通称:Nコン)全国大会出場。高校では合唱部を音楽的に推し進め、初出場で全日本合唱コンクール(通称:朝日コン)全国大会3位相当の特別賞を獲得した。大学・社会人になっても合唱やアンサンブルを続け、海外演奏旅行や海外コンクールなどの経験を持つ。