合唱手帳

20・30代の合唱愛溢れるメンバーが「歌う楽しさ」を伝えるために立ち上げた合唱サイト。

腹式呼吸をするとお腹が出るのはアレが潰れるから

「胸式呼吸」と「腹式呼吸」って聞いたことありますか?

 

さまざまな呼吸法がありますが、この2つは歌い手ならずとも耳馴染みのある代表格だと思います。

 

 

腹式呼吸=お腹に息を入れる呼吸法……ではない!

「胸式呼吸は胸に息を入れる呼吸法」「腹式呼吸はお腹に息を入れる呼吸法 」。そんな言葉を耳にすることがあります。

これは初心者に有効な言葉ではありますが、中級者以上には毒になる言葉でもあります。

 

息は肺にしか入らないからです。

 

息を「胸に入れる」や「お腹に入れる」というイメージは大体の方角は合っていますが、大まかすぎて目的地に到達できる可能性は低すぎます。

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※illustration by フリーメディカルイラスト図鑑

 

胸式呼吸をすると→胸が動く

腹式呼吸をすると→お腹が動く

 

これは正しい順番です。

しかし、胸が動くのが胸式呼吸、お腹が動くのが腹式呼吸と言い換えることはできません。

 

呼吸法のエキスパートになりたいなら、その理由を見つめてみましょう。

 

胸式呼吸ではなぜ胸が膨らむんだろう

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※illustration by フリーメディカルイラスト図鑑

 

前回の記事で、肺は自分で大きくなったり小さくなったりできないことと、その肺に息を入れるという動作は2つに因数分解できるとお伝えしました。

 

note.chorustips.com

 

・横隔膜に力を入れて肺を引き下げる

・肋骨を開いて肺を広げる

 

この2つです。

 

 

このうち、「肋骨を開いて肺を広げる」という動きが目立つのが「胸式呼吸」です。

 

肺に息を入れるために肋骨を広げる。そのために胸が動くのです。胸式呼吸をうまく使いたいと思うのなら、中の容積を意識して肋骨を広げましょう。

たとえば、肋骨を上方向に上げるのではあまり容積は大きくなりません。背骨を軸に開こうとすることがポイントです。

 

腹式呼吸は「潰れる」イメージ

続いて腹式呼吸について見てみましょう。

 

先程もお伝えしたように

腹式呼吸をすると→お腹が動く

これは正しい順番です。しかし、間を飛ばしすぎています。

 

この間に、2つの工程を入れることができます。

腹式呼吸をすると→◯◯が下がる→◯◯が潰れる→結果としてお腹が動く

 

◯◯に当てはまる単語を考えてみましょう。

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※illustration by フリーメディカルイラスト図鑑

 

既に確認したように、肺に息を入れるという動作は2つに因数分解できます。

 

・横隔膜に力を入れて肺を引き下げる

・肋骨を開いて肺を広げる

 

このうちの「横隔膜」の働きが目立つ呼吸が腹式呼吸です。

 

これで、一つ目の◯◯が埋まりますね。

腹式呼吸をすると→横隔膜が下がる→◯◯が潰れる→結果としてお腹が動く

 

 

では、横隔膜が下がると何が潰れるのかを考えてみましょう。

横隔膜の上には肺があります。では、横隔膜の下には?

 

 

内臓です。

胃や腎臓や腸があります。(参考:gooヘルスケア

 

 

つまり、こういうことになります。

腹式呼吸をすると→横隔膜が下がる→内蔵が潰れる→結果としてお腹が動く

 

お腹の膨らみの正体は内蔵なのです。

 

また、横隔膜がお腹側は浅く背中側は深いために、内臓はお腹側に押し出される動きが目立ちますが、実は360度全体が少し盛り上がります。

 

腹式呼吸ができているかを確かめるときは

 

・お腹のあたりにキツイ感覚があるか

・お腹の前側だけでなく360度に圧力を感じるか

 

この2つを確認してください。

 

 

 

胸式呼吸と腹式呼吸を見てきました。

次回は、「歌には腹式呼吸」といわれる、その理由に迫ります。